ほんとはわかって欲しい

 高校生の親戚の子に、朝読書で読む本が無いとぼやかれたので、山鳥重先生の「わかるとはどういうことか」を貸してあげたが、高校生にはやや難解だったようだ。

 

 認知的な「わかる」と、心理的な「同調する」は似て非なるものだと思う。同調する方は、解ってなくても、ああそうだねって言える。本当に解ってるか?と疑いたくなるのは後者である。

 社会性は必ずしも前者を求めないが、解っていないのは解るのだ。

 患者さんが、この年になったから分かることがある、若い時の自分に教えてあげたい、と言っていた。この時私はちょっと若手にイラッとしていたので、20代の子って何にも解ってないと思いません?と同調を求めたが、さらっとはぐらかされた。肩透かしを食らって話の落とし所がなくなってしまったのであとはお話しを聞くだけになってしまったが、周囲に配慮したのか、若いから当たり前だと思ったのか、無言で嗜められた気がして少々後味が悪かった。

 

 わかるわけない、と思っていても、それは理解を求める心理の裏返しなのだろう。意地っ張りですよ。解ってます。