片手動作は意外と難しい

 脳梗塞後の片麻痺は程度に個人差があるので、家事動作のアドバイスもオーダーメイドだ。

 私が新人だった頃、リハ室には熱でモールド出来るプラスチック素材やテープなどが色々転がっており、誰も使う素振りもなかったので、研修で覚えたての自助具や装具をちょこちょこ拵えていた。

 カックアップスプリント、8の字スプリント、ソックスエイド、ボタンエイド、この程度なら新人の技術でもそこそこ作れたが、いざ適応となると、使う側の患者さんに注意障害や記憶障害があったりしてうまく使えなかったこともあり、全部が全部うまく行ったわけではなかった。

 片手で何かをするというのは、ストレスが溜まるものだ。ゆで卵一つ剥くにしても、片手は難しい。簡単そうなピーラーも、まな板に固定した根菜を綺麗に剥くのは難しい。

 ソックスエイドも然り。下手をすると、両手が使えたらなあ…という患者さんの失望を増幅させるだけの代物となりかねない。

 私の実力不足もあっただろうが、結局、作った道具たちは何度か使われたものの、お蔵入りになった。

 そして、私が余り亜急性期に関わっていないからか、最近はこういった道具が必要な場面に出会わない。治療技術も向上していて、痙性を落とせる薬もある。

 それでも、困っている人は多い。

 それなら、片手スキルを上げた方がいいのではないかと考えた。

 勿論、麻痺側が補助的にでも使えるのであれば、使ったほうが機能改善の為にもいいので、ストレスを感じない片手動作や、ストレスのかからない道具が紹介出来たらいいかと思う。

 

 で早速。

 朝ご飯を一人で準備したいという方に、温泉卵の作り方を提案した。

 片手鍋でお湯を沸かし、沸騰したら冷蔵庫から出したばかりの卵をそっと沈めて、10分。ざるにあげてすぐ水道水で冷ます。これをやらないと予熱でゆで卵になってしまう。

 卵を上げる時に鍋の取っ手に引っかからないよう注意。

 温玉は片手で割れるので器に入れやすい。そしてタンパク質摂取に卵は最適だ。毎日作ってもいいと思う。

 

 (タイトル間違い修正しました。

 夜中に書くとこうなる笑)