緩和ケアって

 緩和ケアの大切さはわかっているつもりだが、私の場合は余りお世話にならなかった。どうやら緩和ケアに関しては自費らしく、一回の診察料が5000円というインパクト以外は余り記憶に残っていない。術前の一番痛みが強かった時というのもあるが、主治医が入れ替わり立ち替わりベッドサイドにきてくれたのと、職員(という名の同僚笑)がせっせとケアしてくれたので、一見の緩和ケア医と話す必要性を余り感じなかったのだろう。

 実際、セラピストがマッサージするよりも、素人のご家族がさする方が患者さん喜ぶよね、とスーパーバイザーに言われたことを覚えている。

 リハビリそのもののエビデンスがどうなのよという問題もあるが、医学だけをとって言えば、圧倒的なエビデンスがある治療法はリハにはないようだ。

 でも、自分が闘病していた時に関わって下さったPTさんには感謝している。自分が患者になってみて、動くきっかけを作るには、他者のやや強引な関わりが必要であることを、身を持って学んだ。

 専門領域としての緩和ケアを、短期間で受ける効果については、ラポールが取れていない状態ではイマイチな気がする。セラピストにとってラポール形成は最も難しいことだと思うが(基本私がぼっちだからかも知れないが)、絶望感を癒すのは、他人ではなく、普段から関わっている馴染みの人であることは疑いない。

 私は結構逆転移に悩まされるタイプなので、仕事中はニュートラルになるよう心がけているが、波風立てないよう心を鏡面に保つのは、中々難しい技だと思う。