時々、緩和ケア目的に入院してくる患者さんがいる。
もう、(治療としては)やることがない、という背景がある。高い薬を延々と続けた挙句、結局効き目がなくて、余命わずかという診断を受けている。
リハビリに伺うと、ベッド周りには不機嫌さと諦めに満ちた空気が漂っていた。
もちろん、気分的にはもっと明るく生活している人もいるし、積極的にリハに取り組む人もいるのだが、余命宣告は気分を大きく蝕むもののようだ。
空気は諦めに似ているのだが、会話をするとちょっと違う。
機嫌よく、積極的にリハビリをしている人は、家族や他者と頻繁に関わり、それでいて自立性が高く、自己肯定力が高い。
不機嫌で、動く気力がない人は、他者に対して否定的で、自己肯定力も低い。
自己肯定力が低いから、他者を否定して自分を底上げしようとしているのだろうな、と推察する。話すこと全て否定されるので、話が続かず、対象者の話を聞くだけになる。
おしゃべりテーション、なる言葉がある(業界スラングだと思うが)。
おしゃべりで気が紛れることもあろうが、全否定だと中々に長時間は厳しい。色々な話題に切り替え、切り抜ける。
終わるとほっとしている自分がいる。職歴が浅いと辛い時間だろうなと思う。さて、対象者はどうだろうか。他者を否定して、気分が良くはならないだろうが、障害受容の段階なら、否認から取引といったところか。自分でも気づいてはいないのだろう。
そこを気づかせる必要があるのかないのか、難しい課題ではある。暫くは、様子見で。