読書歴:夜行観覧車・湊かなえ

 入院中、読んだ本

 

 こういう読後感のものすごーく中途半端な物語が出はじめたのは、平成の中頃位だろうか。小説というのは、起承転結があって、誰かが救われてめでたしめでたしで終わるものだと思っていたが、この話はそういう話ではなかった。

 

 お金持ちが住む高級住宅地。そこの一番最後に売れた宅地に、私学の中学に入試失敗した女子とその家族が住んでいる。入試に失敗してから母親に暴力を振るうようになった女子、それを観察する近所のおばさん。そのおばさんも別居の息子は訪ねて来てくれない寂しい身の上。女子の同級生が起こした殺人事件。事件を見た人、事件を観察する人、事件に関わった人。面倒臭いごちゃごちゃした人間関係。

 殺人事件そのものより、周りでごちゃごちゃやってる人間の方に焦点を当てた物語。小説だけど、現実って起承転結ではまとまらないものなんだろうな。

 でも、これでもまとまるんだ、家族。最後は。

 入院中に読む話じゃなかったな。すっきりしなくて気持ち悪い。