抗がん剤をやっていた時、元同僚の看護師に聞いた話だ。
「抗がん剤の点滴を扱う看護師は、自分は打ってないのに、体内から抗がん剤の成分が検出されることがある」
なるほど、と思った。
化学療法室で、点滴を受けていた時の看護師の服装は、まるで感染対策をしているようだった。ゴーグル、マスク、厚手のビニールガウン、手袋。あれは曝露対策だったのだ。副作用を考えると、健康な人があの薬の洗礼を受けるのはかなりリスクが高いと思われる。
改めて医療従事者というのは危険な仕事だなと思った。
抗がん剤は、正に諸刃の剣の薬なのだ。