一年

 一昨年の今頃、職場のみんなと旅行に行っていた。

 まだ体調は普通で、翌月から実習が始まると言う時で、元気だった。

 3ヶ月後、がん宣告を受けて4ヶ月後には手術、半年後には抗がん剤が始まって、あまりの苦しさにあっという間に挫折して、経過観察に移行。

 2年目の冬。今の所再発はない。貧血は改善しないが、生活には支障ない。

 良くも悪くも生き方を考えさせられた。考えた、ではない。考えなくていいのだったら、普通に仕事して、普通に楽しんで、生活できていたと思う。

 入院生活に入る前、同僚に、これを機会に好きなことでもして、と言われたが、体力もなく、仕事もないのに好きなことなど出来ない。

 とかなんとか言いながら、パートタイムで職場復帰して、中途半端な収入と中途半端な趣味活動で、これでいいかと言われれば良いことはない。しかし慣れとは怖いもので、これでいいような気がしてきてしまっているのだ。常勤勤務が激務だったかといえば、超過勤務手当もなしにだらだらと仕事をせざるを得なかった時もあり、あのストレスで病気になったーと言えば言えないこともないくらいだが、それもそこそこ楽しかったのだ。若くて身体もついて来ていた。もう、そんなわけには行かない。

 空いている時間は、体操、読書、睡眠、家事。まだ身体は完全じゃないのか。1日勤務ができるかどうか、やっていないのでわからない。とかなんとか言いながらパートタイムで9ヶ月。何か考えなくては。

 

 時間があったらやろうと思っていたことはいっぱいあるが、そのうちのいくつかは出来たし、いくつかはできていない。

 定年後なんてあってないようなものだ。時々忘れるが、再発リスクを抱えているのに、30年後なんて考えられない。

 今が一番若くて、体力がある。

 

 謎の腫瘤は問題なし。

 ちょっとほっとした。

 干支の置物も置いて、年賀状も出して、お飾りも飾った。

 掃除は中途半端だが、そこは目を瞑って。

 どうぞみなさま、良いお年を。