術後すぐ、入院中の話だ。
食事が始まったのが術後数日経ってからだと思うが、膵胆食で、味も素っ気もない水のようなお粥と、味噌汁の上澄みと、芋を裏ごしてトロミをつけたようなものを一ヶ月くらい食べていた。当然カロリーは足りないので点滴併用だ。
そんな折、家族が牛乳を持ってきてくれたので、嬉々として飲んだら激痛に襲われた。
七転八倒、夕方まで苦しみ抜き、数日後、食事のレベルが上がって牛乳とパンが朝食に出るようになっても、トラウマでしばらく牛乳が飲めなかった。
脂質はどうも消化が悪い、と言うことに気づき、退院後も徹底的に高脂質の食品は避けてきた。
一年くらい経つと、次第に揚げ物も食べられるようになってきて、牛乳も乳製品も普通に摂取できるようになっていた。
二年も経つと、量を食べられない事を除いてはほとんどなんでも食べられる。
ところが、数日前、気を抜いてはいけないと思い知らされる事態が訪れた。
生クリームたっぷりのタラコスパゲッティを作り、美味しく食べた翌朝だった。
腹づもりが抜き差しならぬ事態になった。
幸いにも痛みはなかったが、トイレから出られない。
脂質たっぷりの生クリームは、リパクレオンでも消化が追いつかなかったようだ。
身体が元気だと、ついつい美味しいと思うものを食べてしまうが、基本から逸脱してはいけなかった。
ケーキやアイスクリームなどではなんともないので、量の問題かも知れないが。
早朝の出来事だったので、仕事への影響もなくあとは普通に過ごせたが、高脂質の食べ物はこれからは避けたほうが良さそうだ。時間が経ったからと言って、急に消化能力が上がるわけでもないだろうから。