お通じコントロール

「便秘はしないように」

 執刀医からも内科の主治医からも口すっぱく言われている。

 使っている便秘薬はコマーシャルもやっている酸化マグネシウムだ。

 市販品と処方薬では一錠あたりの量が違うので、ないからと言ってほいと薬局で買えるものでもない。飲み過ぎると緩いし、減らしすぎると辛い。

 術後の排便コントロールは結構大変だ。

 

 術後100日程度までは、ほぼ軟菜、お粥生活だった。カレーなどの刺激物は薦められないし、辛すぎ、甘すぎも切った臓器によっては厳しい。術後半年も過ぎると、徐々に元の食生活に戻れるが、揚げ物、脂質の多いものは消化しにくい。術後一年半経った今は、ほとんど食べられないものはない。揚げ物や脂質の多いものはやはり消化しにくいので、夕食にはほとんど食べない。ガッツリ系は昼間に食べることにしている。胃薬は夕食後。逆流性食道炎もほぼ症状がなく、お通じのコントロールさえちゃんとできれば苦しくはない。

 

 術前、術後数ヶ月悩んでいたのが、ガスの排出と一緒にお通じが出てしまうことだった。直腸を取ったわけでは無いのだが、この症状のために、随分社会生活が制限された。生理用ナプキンをつけて漏れを防いでいたが、まるでトイレが自立していない乳児か、寝たきり高齢者だ。回数も多かったので、出掛けるのを躊躇った。そもそも歩けなかったので、腹部体幹の筋力低下が原因だと分かっていたが、入院中のリハだけでは間に合わず、帰ってからも随分運動はやった。症状は抗がん剤をやめた数ヶ月後には、いつのまにか治まったが、食べるものや便秘薬のコントロールの度合いによっては、今でもあっ、思うこともある。社会復帰の際には弊害の一つになるだろう。薬剤コントロールも含めて、症状がある場合には外科、内科両方の主治医に問い合わせた方が良い。

 運動する際には、内臓のストレッチも意識した。切った傷があるところは、表皮だけでなく、体内の数カ所に及ぶ。少し伸ばしても突っ張る。伸ばし過ぎると痛いし、どこか切れても困るので本当に少しずつだが、入院中から体幹の回旋運動はやっていた。腹部の動きは後々のQOLに関わる。私も初めてだったので、情報を集めながら運動量を増やしていった。

 

 仕事に出るようになってこの症状のこともすっかり忘れていたが、昨日きのこを食べすぎたせいか、少々調子が悪い。仕事中に症状が出なくてよかった。薬の量を調節しながら、おトイレとお友達である。すっかり普通の生活かと思っていたら、時折チラッと後遺症が顔を見せる。

 全く、油断ならない。