養成校1年生だった秋、駅に人だかりがあった。いつもはそれほどごった返してもいない改札前が、洒落にならないほど混雑している。
何かあるの、と同級生に聞くと、新庄さんが通るらしい、と。私は野球に然程興味もなかったので、へえ、と応じただけでそのままホームに上がった。電車の車内からぼんやり外を見ていると、大きなカバンを抱えた私服の野球選手達と思しき背の高い男性の集団がホームに上がって来ていた。
そこへ同級生の男の子が、サイン貰えた、と嬉々として隣に座って来たので見せて貰ったら、講義のノートだった。
「それ提出しろって言われたらどうするの?」
と、冗談混じりに聞いたら、
「出しません!」
だよねえ。聞くと新庄さんはいなかったそうで、集まっていたマスコミや野次馬は空振りだったようだ。彼がサインを貰った選手はキャンプから移動する阪神の選手だったらしい。
新庄さん一人に凄い熱狂だなと感心したものだ。
その後新庄さんは阪神から大リーグに行き、日ハムに帰ってきて素っ頓狂なパフォーマンスをやったりしていたが、野球に詳しくない私でも、新庄さんが話題になるとニュースを見たりしていた。ゲームを見るだけじゃなくて、こういう楽しませる要素がある人は面白い。
天性のエンターティナーなんだろうなと思う。
新庄さんが日ハムの監督になる、とニュースで見た時、日ハムの英断に驚いた。今ですよ。満を辞してって感じじゃない?何で阪神じゃないのさとも思うが、来年の交流試合が楽しみだ。
こんな時代だから、なんか面白いことをやってくれそうな人に前に出てきて貰いたい。
期待してます!新庄さん。