チャレンジするのは良いけれど

 猫も杓子も携帯を持ってる時代、いつでも連絡が出来るのはありがたいが、その陰で苦労している人もいる。

 スマホ買ったんだけどねえ、という患者さん。タブレット持たされたんだけど、どうやって使うのかわからない、という入院したばかりの方、充電できないー、と喚いている術後の方…高齢者の携帯事情は様々だが、一律言えるのは、一人では使えないことだ。

 必要だから持たせているのだろうに、メールどころか電話にすら出られない。充電が切れたまま何日も放置して電源が切れているのに気づかずに、電話がかけられないといったこともある。

 使えない道具を持っていてどうするのかと思うが、皆さん仰る「使えると思ってた」

 ガラケーでもスマホでもどちらでも同じだが、直感で使い方が想像できない人は使いこなせないと思う。意地悪で言っているのではない。現在の七十代以上の方々は、一つのボタンに一つの機能が割り当てられた家電を使って来た世代だ。洗濯機も電子レンジもテレビも炊飯器も電器屋さんが来てこうやって使ってねと教えて貰っていた。昭和の殆どの家電はタイマー合わせてスイッチ入れるだけだ。

 一つのボタンに複数の機能が割り当てられている今の家電や、ましてや画面がコロコロ変ってそこにさっきあったボタンが無くなってしまうスマホが満足に使えるわけがない。

 電話とメールなら何とか、と言っている人はまだ器用な方なのだ。

 

 我が家の高齢家族が「スマホ欲しいんだけど」と言って来たが、即却下した。だって、そもそも教えて貰える事が前提なのだ。一人の時に緊急で使えない物など持っている意味がない!と熱弁したが、ご不満だったようで随分文句を言われた。ごちゃごちゃ言っているうちに、知り合いが誰にも連絡出来ずに逝去した知らせを聞いて諦めたようだ。

 新しい物はワクワクするし、友達が使ってたら欲しいのは何歳でも同じだ。大人はお金も持ってるから買えてしまう。

 けど!

 それと満足に使えるかどうかは別なのだ。電話はボタン式にしといて、ネットとゲームはSwitchでも買って遊んで下さい。