やってみないとわからないけれど

  開腹術、抗がん剤と、ガンの治療は時間もお金もかかり、苦痛も伴う。

  それでも頑張ってますよ、みたいな記事はよく見るが、その頑張り、終わりがあるのか。

  友人や知り合いは、殆ど医療関係者ばかりなので、誰も頑張ってとは言わない。頑張って無理をしても、続かないと知っているからだ。知らない人はさらっと無理を要求する人もいるが、これは知識がないのだから仕方がない。ガンに限らず病気を抱えて働く人は増えているのだから、それくらいの知識は持ってほしいなと思うが、そういう世界で生きている人の常識は、私が思うのとは違うのだろうと思って諦めている。

  厚生労働省も啓発しているし、大企業の経営者にもガン経験者がいる。人を大切にするいいビジネスモデルを作ってほしいなと思う。

 

  職場復帰の道筋は立ったが、契約社員なので、その先のことはわからない。

  書類を見ると、辞める前提のことばかりが書いてあるように思えてしまう。自信がないからだろう。ついつい意気込んで、あれもこれもと手を出してしまわないように、自制しなくてはいけない。

  治療中に退職したり、させられたりする人は多いらしい。どっちにしても、将来が見えなくなり、心も傷付く。人を恨むこともあるだろう。私も何とか自分を納得させようとしたが、納得出来ないものは出来ない。事態を打開する方法もわからないし、腹がたっても仕返しもできない。

  幸い、話を聞いて共感してくれる友人がいたので、気持ちは乗り切れたが、それでも解決しないといけない問題は多い。

  治療も仕事も頑張っています、とブログを書いていた人の記事が途切れ、家族が、数日前に亡くなりました、と最後の記事を投稿しているのを見ると、落ち込んでしまう。だからというわけではないが、頑張らずに日常生活を取り戻す1つのパターンが確立できればと思っている。

  とにかく、生き延びることが最優先だ。体調はいいが、爆弾は抱えたままだ。術前と同じ身体ではない。

  ふつうに生きていけることを証明出来れば、仕事を辞めたり、辞めさせたりする人も減るだろうか。

  甘っちょろいんだろうな。でも、そういう温かい世の中になって欲しい。