もやもや

 休みが多く、色々な読み物を読めるタイミングが多かったので、この数年は職業以外の知識もかなり吸収出来たと思う。

 参考になったのはやはり同病の方々の闘病記(漫画も含む)だが、中にはフィクション混じりの物もあり、リアルが一番共感出来ると分かった。

 ずっとやりきれない思いを抱えていたが、色々読んだり、経験したりして分かったのは、やり甲斐と報酬は比例しないと言うことだ。

 仕事はあくまでもライスワーク(食べるための仕事)であって、ライフワークとは違うと何処かで読んだことがあるが、学びもプライベートもずっと仕事ベースで考えていた私には、休みが多い、報酬が少ない、仕事のレベルは前のまま、という違和感に耐えられなかった。口では褒められても実が伴っていないのだから当たり前だ。ライスワーク=ライフワークを失った典型的な例だったのだろう。

 根気と努力で乗り切ってきた人生経験も仇になった。体力がない努力は悪あがきでしかない。履歴書一枚を書くにも体力がいる。慣れない職場で一から始めることは出来ないと諦めた。

 しかし違和感はそのままだ。恐らくこの2年ほどは、「術後半年くらいで復帰できました」とか、「転職出来ました」みたいなネット上の成功体験に焦っていた。標準から外れたような気がしていたからだろう。

 でも社会は、相互作用で成り立っている。自分一人が頑張っても、突破できない壁はある。

 それも分かっているが、頑張った自覚があるばかりに、どうしても納得出来ないのだ。

 そしてまた資料漁りに戻ってしまう。

 現状に心の折り合いを付けたいだけだと分かっているのだが、どう頑張ってももやもやは残るだろう。

 

 同年代の同僚が、「辞めることにした」と呟いた。理由は前々から聞いていたので知っていたが、それこそ上司の配慮でなんとかなる状況にも見えたので、この人ほど現況を訴えても理解して貰えないのだから、私など言わずもがなだな、と思いつつ頭の中で辞める時の捨て台詞を考えていたりする。

 結局は誰が辞めても大局的には困らない。

 組織とはそういうものなのだ。