開腹したのだから当然といえば当然ながら、腹痛に悩まされる日々が続いた。
食べるものに制限はない、と主治医に言われたものの、当然消化の悪いものは食べられない。
退院後1ヶ月は、術後の食事の解説本に従って、消化によく、刺激の少ないものを食べていたが、それでも食欲は回復しなかった。腹痛も変わらず、食べると激痛が襲ってくる。毎回なので、食べるのも嫌になってくる。
そのうち、抗がん剤が始まり、腹痛に吐き気と疲労が加わり、ますます食べられなくなった。
こうなると食事はただの暴力でしかない。もうこれ以上は痩せられないところまで体重が落ちた。
主治医は顔を見るたびに、食べてる?と聞いたが、痛くて無理、と答えるしかなかった。
このままだと餓死すると思うくらいだったが、お腹が空かないので、実感はない。減っていく体重だけが危機感を煽る。
結局、薬をやめて数週間で、吐き気からは解放された。
食欲も回復し、少しづつバリエーションのある食事ができるようになった。
しかし、胃痛はあまり変わらない。今回、胃は切っていない。
腹腔CTは何度か撮ったが、胃には異常はない。主治医は首を傾げている。何ででしょうね。
と言われても。
術後一年。通常の食事は出来ているものの、胃痛はたまにあるし、切った所もシクシクすることがある。こんなものなのか?
と思えば、全く痛くない時もある。
何年も経っていても、痛いことがあるという話も聞く。
範囲の狭い、ポツンと点のような痛みを感じるたびに、この痛みが何を知らせているのか、気になって仕方ない。