がん診断後一年。
明らかに痩せてやつれていた時と違い、体は元気になってきた。
主治医は時短復帰を9月には許可してくれていたが、就業規定で退職になり、その後も家で療養した。
もし9月に戻れていたら、どうなっていただろう。
去年の9月は、まだ抗がん剤の副作用でいろんな症状が残っていた。もし戻っていたら、途中で挫折した可能性もある。
ネットの情報を読んで、治療中でも戻っている人が多いのだから、私も働かなくては、と焦っていた。
でも実際は、筋肉のない痩せた体で、普通に寝ても身体中が痛かった。筋肉は簡単にはつかない。まともに動けるなと感じ始めたのは1月くらいだった。
元職場の求めに応じ、厚労省指定の書式で、就労に関する意見書を提出したのが2月初め。3月になって、漸く契約書が出来たと知らせが来た。
もうフルタイムでもいいんだけどな、とも思ったが、自分自身も病者であることを考えると、足下がしっかりしていないといきなりは難しいかも知れない。これも、やってみないとわからない。
実績を残すしかない。
当然、給与も前と同じというわけにはいかない。傷病手当も切られる可能性もある。
契約期間は半年。リハビリのつもりで臨むしかない。
傷病手当がもらえる間は休めば良かったのに、という人もいるが、主治医は働いていいと言っているのに、家で寝ていても仕方がない。
それでも、気持ちを切り替えるのは難しい。一年のブランクは半端ない。
退職はしたものの、再就職予定での療養だったので、私物は全部職場に残していた。ロッカーの中に残していた仕事用の手帳の最後のページの日付は去年の3月9日。タイムスリップした気分だった。
病気であることは変わりない。それでも、前に進むしかない。