悪あがき

  明日は神戸で国際リハ学会があるそうだ。

  10年前なら喜んで分かりもせずに物見遊山に行ったかもしれないが、休日は体力回復のために費やさないと行けない病者では、それも叶わぬ話。一年の仕事のブランクは、ぱっと知識の引き出しが開かないほど長かったのだろう。切り取った臓器と一緒に記憶も吹っ飛んで行ったのではないかと思うくらいだ。使わない知識は零れ落ちていく、それが記憶というものだ。

 

  医学の知識というのは10年経つと古くなる。私が学んだ知識は確実に10年前だ。

  学生時代の教科書ではもう追いつかない。本も買い足しながらキャリアを積んできたので、家に積んである本の量も大概だが、まだ足りないようだ。しかし、今は読む体力もない。

  このままドロップアウトしていくのだろうか…まだそんな年齢でもないが、焦りだけが前に出る。