星新一!

今週のお題「SFといえば」

 

 中学校の図書室の本棚にがっつり並んでいた星新一全集。パステルカラーの綺麗な表紙に惹かれて手に取ったが、中身は結構ブラックなショートショートと呼ばれるジャンルだった。何故か宇宙人ネタが多かったので、当時からSFに分類されていて、記憶が定かではないのだが、ハヤカワ文庫からも出ていたように思う。SF流行りで、海外モノの文庫もよく店頭に並んでいたが、SFと言えば星新一だと思っていた。

 しかし、その全集の中で、一番印象深かったのは、フィクションのショートショートではなく、フリーズドライ食品の研究をしていたというおじいさんの話「小金井良精の記」だった。ウィキペディアにはそのことは全く書いていないが、シリーズの中でこの本が一番分厚く読み応えがあった。フィクションよりも、事実の方が面白い。お父さんの一(はじめ)さんは、製薬会社の社長さんだったというから、研究が好きな一家だったのかも知れない。

 調べているうちに、小金井さんの同門に、恩師のお祖父様のお名前があった。我が恩師は教わっている頃はよく知らなかったのだが、公衆衛生学の権威で、結構偉いお方だったようだ。一緒にバスに乗って帰った日々が懐かしい。お元気だろうか。(星一さんと書いていましたが小金井良精さんだったようです。修正しました)

 

 ツラツラ語ったが、肝心の星作品について何も書いてない。全集から敢えてお薦めを選ぶとすれば、「ノックの音が」だろうか。あっさり読めて、ちょっと怖い。読みだすと止まらない。で、読んだ印象がちっとも残らない。いいのか?いいんです。暇つぶしに読むものだから。ショートショートって。