術後体温調節と疼痛対策

  今でこそ普通に体温調節できる身になったが、手術直後は、暑い、寒い、痛いの繰り返しで、布団を剥がせば寒い、被れば暑い、寒いのも極端に寒く、暑いのは極端に暑い。暑い方は脱げばいいが、寒い方は着るしかない。どっちにしても動くと痛い。八方塞がりだ。それも数分ごとに変わる。

  最初は看護師さんに手伝ってもらっていたが、流石に一週間も経つと自分でやらなければならないので、痛みを堪えながら脱ぎ着する。寝てる間に痛い場所が増えていく。腰とか、お尻とか。

  疼痛対策は薬しかない。点滴は一日中だったし、何本も繋がっているドレーンを避けながら服の脱ぎ着はしないといけない。となると、最低限の薄さのパジャマを着て、あとは大判ストールで調節した。

  動くと痛いのでベッド周りに日用品を集約した。それでも身体を動かすだけで携帯や箱ティッシュは何度も落としたし、姿勢を変えるためにギャッジアップすると、色んなものが滑り落ちてしまう。

  S字フックで100均の籠をベッドにぶら下げ、箱ティッシュと携帯を突っ込んだ。ゴミ袋はその横に結びつける。白いレジ袋が役に立った。殆ど動かなくて済むようになった。動いて痛いのはこれで解決できたが、体力はどんどん減退していった。

  痛みばかりに気を取られ、他は後回しになる。

  痛みだけで言えば、本当に半年も経てば楽になる。ただ、この時に失った体力を戻すには一年はかかる。本来なら、早めにベッドから離れて活動しなければいけないのだが、20cmもある傷はちょっと引っ張っただけでも痛かった。運動は退院後も必要になる。退院後のリハビリを担ってくれる制度がなければ、動けなくなってしまう人は出るのではないかなと思う。議論はされているようだけれど。