ヘタレの筋肉強化

  退院三日後、走ろうとして車道のの真ん中でずっこけた。

  体重は39kg、階段昇降で膝折れを起こしていた上に、ほとんど食事は取れていなかったので、四肢、体幹とも激やせの状態だった。痩せる時は筋肉から、というのは本当だ。上腕はシワができるほどだったし、大腿はこれ足?と思うほど隙間が空いていた。

  病前はダイエットしないといけないくらい太っていたので、そのおかげで体力がもったのかとも思うが、今度は太らないといけない。ところが、痩せないといけないと思っていた時はどんどん太るのに、太らないといけない時は見事に体重は増えない。

  今は48kg、二十代の頃のベスト体重に近いが、元同僚のPT が言うには、二十代の頃のベストよりは太ってないと、体力がもたないらしい。当たり前だが、内臓は手術でごっそり切られているし、ちょっと太っているぐらいの方がいいのかもしれない。

  タンパク質、タンパク質。卵、鶏肉、豆類。チーズもいいらしい。

 

  筋トレは入院中にはPTさん指導の下、自重のみで運動していたが、退院直前で一番きつかったのは起立着座の繰り返しだった。エルゴメーターもやっていたが、こちらの方が楽だった。

  退院後は腹部の大きな傷が気になって動けず、毎朝起床後、家の周りを数十メートル歩くだけの日々が三カ月ほど続き、それから少しづつ自転車に乗りかけたが、段差を越える時はかなり痛かった。痛みが少なくなるまでまた一ヶ月。距離は少しづつ伸びていき、病前の移動範囲をほぼカバーできるようになったのは、退院後約半年経ってからだった。

  傷は見た目随分薄くなったが、突っ張ったり、ピリピリすることはまだあり、油断できない。身体を捻ったりする運動も入院中から始めてはいたが、傷が引っ張るので中々怖い。臀部の筋肉が落ちているので、仰向けに寝ると仙骨部が擦れる。これは下手すると褥瘡になってしまうので、臀筋をつけるために臀部挙上と体幹の捻り運動、股関節運動は毎日行った。体力がないので一回あたりの運動量は少なめに、疲労を最小限にしながら一日に何度もやった。

  皮が縮んでいたのか、もうかなり体力が回復していた時期に、仙骨部の皮がピリッと裂け、傷が出来てしまった。多分太って来たからだとは思うが、これが結構ショックで、ものすごーく年食った気分になってしまった。

  ちなみに、臀筋はもう少し鍛えないと、寝ているとまだと少し痛い。