猫の距離感(と近況報告)

 1ヶ月のご無沙汰である。

 決して体調を崩した訳でも、さして忙しかったわけでもない。強いて言えば雨続きで気分が乗らなかった。

 病気に関しては、主治医から定期検査終了のご宣旨を賜わり、高額な検査料を払う日々から漸く脱出出来ることになった。かと言って、お薬からは逃げられないので、年間ん万の薬代と定期的な診察はこれからも続く…この年になると、身体のメンテナンス料は必要経費である。後輩からは、キャリアがあるからお給料はいいと思われているようだが、パートの時給を聞いたらひっくり返るだろうな。この数年の生活は、文字通り血の滲むようだった。定期検査が終わったとは言え、これからも油断ははできない。年を重ねればあちらこちらメンテナンスするところも増えてくる。

 

 で、いきなりであるが猫の話。

 所用あり、ある専門学校を訪れた。

 その玄関先に、猫がいた。

 しましま模様のグレーの猫。

 私は猫が余り好きではないので、ちょいと距離を取っていたが、あちらも察したらしく、撫でてくれるかな、みたいな期待顔で近づいて来たが、それ以上近づいて来なかった。一方、学生が玄関から出てくると、平気な顔で近づいていき、撫で撫でを堪能している。人好きな猫だが、空気感はわかるらしい。賢い猫だった。

 その後、人待ちをしている私に近づくことなく、数メートル離れて横たわり、パッタパタ尻尾を地面に叩きながらこちらを見ていた。

 学校の先生によると、学校で飼っているわけではなく、ちゃんとお家のある近所に住んでいる猫だそうで、お家の人公認で出入りしているのだとか。どうりで綺麗だと思った。というか、出入りを許している学校も懐深いな。学生の癒し担当なのだろうか。

 同行者は猫には余り興味がなかったようで、チラ見しただけだったが、それもわかっているようで、やはり近づいて来なかった。

 

 動物でも空気読めるんだなあと思う出来事だったが、言葉が介在しないからこそ空気が読めた方がいいのかもしれない。でもこれ、人に教えるのは難しいかなあ…と、ついつい仕事への応用を考えてしまう。ダメだな、普段からこういうことは考えないようにしないと、ストレス溜まっちゃう。