学生がコミュニケーションできない理由

  今年の国試まであと1ヶ月を切った。

  残り1ヶ月はひたすら過去問を解くのみだ。去年の3月に実習していた彼女も頑張っていることだろう。あれからもう一年。早いものだ。

  

  臨床実習を受け始めて12年くらいになるが、出来のいい子ばかりでもなく、ほとんどの子は実習途中でコミュニケーション出来ずに行き詰まってしまう。私も実習中は経験があるので分かるのだが、成績を握られてしまうと言いたいことも言えなくなる。必ずしも言いたいことを全部言っていいわけではないのだが、言ってはいけないことも言ってしまう。実習はクリアできても、就職してから躓く人もいる。

  ただ、キャリアを積めばうまく行くかと言うとそうでもなく、コミュニケーションはうまくいっているはず!と思っていた患者さんから、阿川佐和子さんの「聞く力」という本を頂き、あんたはもうちょっと人の話を聞かないかん、と言われた時には、恐縮しきりだった。どうやら、私の方が聞いてもらっていたらしい。

 

  コミュニケーションは一方的ではいけないのだが、体調が良くない人とのコミュニケーションは双方向というわけにはいかない。痛みが絶頂の時に人の話なんか聞いていられない。術後、体調が最悪の時にされた説明なんて、さっぱり覚えていない。注意してねと言われても注意なんて全くできない。医療者側が先回りしてフォローするということが何度もあるが、この場合も意思確認は忘れてはいけない。

  

  学生がコミュニケーションできない理由。

  人の気持ちがわかるほど、長く生きていないから。

  経験不足は経験で補うしかない。教える側も、よく肝に命じて。