地味家事の弊害

 ドスン、と脱衣所から鈍い音。

 あ、転んだ、と思い覗いて見ると、案の定我が家の高齢者がズッコケている。

 ボディソープが足りず、詰め替えようと入浴中に出てきたらしいのだが、足が濡れていて滑ったらしい。

 気づいた時にやってくれていたら転ばなかった、と後でやいのやいの責め立てられた。出てこずに呼べばいいじゃない、呼び出しボタンあるでしょ、と思うのだが、そんなことは知ったこっちゃない、言い返すと泥沼になるので黙っているしかない。黙っていたらいたで言い続けるのでこれまた面倒だ。

 まあ一人で入浴してくれるんだからいいか、とも思うが、高齢者の扱いは難しい。

 

 ではなく、地味な家事の話だった。

 こういう詰め替えなどを後でいいやと放っておくと、思いがけないことが起こったりする。

 シャンプーとリンスを間違える(大惨事)、買ってないと大騒ぎ(1日くらい待ってよ)、正にあれがないなんて有り得ないくらい文句を言われるのだが、こちらとしてはなくても然程困るものでもない。何なら即席で代用品を作ることだって出来るから、慌てなくてもいいのだが、その発想もない。あ、元の話に戻ってしまった。

 相手が高齢者でも子供でも、やってくれてない、はよくある。危なくないシチュエーションで自分でやってくれればいいのだが、文句を言う人に限ってやらないものだ。結局文句を言われるのも面倒でやってしまう。で、いつの間に義務になってしまう。

 私だけの仕事じゃないぞ!

 

 こけるくらいなら最初から気がつかないでくれていいのだが、それは流石に無理か。