不機嫌なベッド:難聴(重度)の世界

 PTが時々ぼやいているのが、難聴過ぎて指示が入らない人のリハだ。当然、パッと指示が入って運動できる人の方が成果は出やすい。指示は聞こえない、聞こえてもわからない、なんなら聞き間違えるとなると中々進まない。加えて難聴の人はせん妄が出やすいイメージだ。明らかにアウェイ環境で、環境を把握できないのだから当然とも言える。

 オーソドックスなのは筆談だが、耳が悪い人は大概目も悪い。耳で聞いても目で見てもわからない、いやこれでどうするんだって…もしかしたらで、背中に字を書いて見たことがある。これが通じたのだ。びっくり。「あ」と「め」の違いなど、判別が難しい字もあり、流石に実用性はなかったが、使いようによっては突破口になるかも知れない。

 

 ここまで書いてちょっと思い出したのが、ヘレン・ケラー女史がサリバン先生に字を教えて貰った時の話だ。流れる水に触れながら、手にwater と書いて貰い、字を認識したという。

 どんなシチュエーションでも突破口はあると信じて方向性を探るのは科学とは言えないかも知れないが、定型的なやり方だけでは切り開けない道もあるのは事実だろう。